「今日」はなぜ「きょう」と読む!?|「こんにち」との違いに隠された日本語の秘密

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「今日」という漢字を見たら、ほとんどの人は「きょう」と読みますよね。

でも、よく考えてみると不思議です。

「今」は「いま」、「日」は「ひ」。

それなのに、なぜ「今日」を「きょう」と読むのでしょうか?

しかも、「今日」は「こんにち」とも読みます。

実は「きょう」は、昔「けふ」と呼ばれていた日本語が、長い年月をかけて変化した言葉なのです。

一方、「こんにち」は漢字の音読みを組み合わせた言葉。

同じ漢字に2つの読み方があるのは、日本語にもともとあった言葉と、漢字を使った言葉が共存しているからです。

目次

「今日」はなぜ「きょう」と読む?

結論から言うと、「きょう」は「今」と「日」を一文字ずつ読んでできた言葉ではありません。

もともと日本語には、今過ごしている日を意味する「けふ」という言葉がありました。

それが時代とともに発音を変え、現在の「きょう」になったのです。

そして、日本語に漢字が取り入れられると、その意味を表す「今日」という漢字が使われるようになりました。

このように、漢字一文字ずつの一般的な読み方では説明できない、熟語全体に対応する読み方を「熟字訓」といいます。

「今日(きょう)」も、その一つです。

昔の「今日」は「けふ」だった!?

古文を読んでいると、「今日」を「けふ」と書いていることがあります。

実は、これは単なる昔の書き方というだけではありません。

平安時代の初め頃には、現在の「きょう」とは異なり、実際に「けふ」に近い発音が使われていたと考えられています。

その後、日本語の音が変化していきました。

けふ → けう → きょう

これは変化の流れを簡略化したものです。

途中には「けおー」「きおー」に近い段階もあったと考えられています。

つまり、昔の人が「けふ」と書いていたのは、当時の発音を反映した表記だったのです。

ところが、発音が「きょう」に変わっても、文字の書き方は長い間「けふ」のままでした。

これが「歴史的仮名遣い」です。

現在は「きょう」と書きますが、古典で「けふ」を見かけたら「今日」のことだと考えてみてください。

「こんにち」はなぜ違う読み方なの?

では、「こんにち」はどこから来たのでしょうか?

こちらは漢字の音読みを組み合わせた言葉です。

今(コン)+日(ニチ)=こんにち

「きょう」が日本語にもともとあった言葉なのに対し、「こんにち」は漢字の音読みから成り立っています。

そして、現代では意味や使われ方にも違いがあります。

読み方主な意味使用例
きょう今過ごしている日今日は雨が降る
こんにち現在、今の時代今日の社会では

「こんにち」も「今日という日」を意味する場合がありますが、特に「現在」や「現代」という広い意味で使われることがあります。

例えば、「今日の日本社会」という文章は、普通は「こんにちの日本社会」と読みます。

この場合、今日一日だけの話ではなく、現代の日本社会全体を指しているからです。

一方、「今日の夕食」は「きょうの夕食」と読むのが自然ですよね。

同じ漢字でも、表したい意味によって読み方が変わるのです。

「こんにちは」の「こん」は「今日」だった!

ここで、もう一つ面白いことがあります。

私たちが毎日使う挨拶の「こんにちは」。

実は、この言葉も「今日」と関係しています。

「こんにちは」は、もともと「今日はよいお天気ですね」など、「今日は……」と続く挨拶の後半が省略されたものとされています。

つまり、「こんにちは」の「こんにち」は「今日」なのです。

そして、最後の「は」は助詞です。

だから、挨拶は「こんにちわ」ではなく、「こんにちは」と書くのが正しいのですね。

普段何気なく使っている挨拶にも、「今日」という言葉の歴史が隠れているのです。

「今日(きょう)」は常用漢字表でも認められている?

「今」は「いま」、「日」は「ひ」なのに、「今日」は「きょう」。

少し特別な読み方に思えますが、実は文化庁の『常用漢字表』にも掲載されています。

「今日(きょう)」は、漢字表の付表に載っている熟字訓です。

つまり、学校や社会生活で広く使われる、正式に認められた読み方なのです。

同じような例には、

  • 昨日(きのう)
  • 明日(あす)
  • 今朝(けさ)
  • 今年(ことし)

などがあります。

どれも漢字一文字ずつの読み方だけでは説明しにくい言葉です。

日本語は、漢字を取り入れる以前から存在した言葉と、漢字を使った表現が重なり合って発展してきました。

その歴史が、現在の読み方にも残っているのです。

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「なぜ昔の文章は読みづらいのか?」

「漢字とひらがなは、どのように一緒に使われるようになったのか?」

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※本記事の「けふ」から「きょう」への具体的な発音変化は、大学の日本語史解説などを根拠にしています。本書の該当箇所から直接引用したものではありません。

関連記事|「明日」にも意外な読み方の秘密が!

「今日」が「きょう」と「こんにち」で意味や使い方が異なるように、「明日」にも複数の読み方があります。

「あした」「あす」「みょうにち」。

この3つは、なぜ同じ漢字で書くのでしょうか?

実は、「あした」は昔「朝」を意味していました。

「今日」と「明日」を比べてみると、日本語の読み方がさらに面白く感じられるはずです。

まとめ|「今日」は昔「けふ」だった!

「今日」を「きょう」と読むのは、もともと「けふ」と呼ばれていた日本語が、時代とともに発音を変えたからです。

一方、「こんにち」は「今(コン)」と「日(ニチ)」の音読みを組み合わせた言葉です。

「きょう」は主に今過ごしている日を、「こんにち」は今の時代や現在を指す場合にも使われます。

そして、挨拶の「こんにちは」も、もとは「今日は……」という表現から生まれました。

たった二文字の「今日」にも、千年以上にわたる日本語の歴史が隠されているのです。

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参考・出典

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