「二十歳」と書いて「はたち」。
当たり前のように使っている言葉ですが、よく考えると不思議ですよね。
「二」は「に」、「十」は「じゅう」、「歳」は「さい」。
それなのに、なぜ「はたち」と読むのでしょうか?
実は「はたち」は、昔の日本語で「20」を表していた「はた」に由来する言葉なのです。
しかも、昔は年齢だけでなく、普通の数字の「20」も「はたち」と呼んでいました。
今回は、「二十歳」に隠された日本語の数え方の歴史を解き明かします。
「二十歳」はなぜ「はたち」と読む?

「はたち」という言葉を理解するには、昔の日本語の数え方を知る必要があります。
現代では「20」を「にじゅう」と読むのが一般的です。
しかし、古い日本語には「20」を表す「はた」という言葉がありました。
そして、「はたち」の「ち」は接尾語と説明されています。
つまり、
はた(20)+ち(接尾語)=はたち
という成り立ちです。
もともと「はたち」は、年齢に限らず、数の「20」を表す言葉としても使われていました。
それが現在では、主に20歳という年齢を表す言葉として残っているのです。
「二十歳」という漢字を一文字ずつ読んで「はたち」になるわけではありません。
日本語にもともとあった「はたち」という言葉に、「二十歳」という漢字を当てているのですね。
昔は「20」を「はた」と数えていた!?

昔の日本語には、現代とは異なる数え方がありました。
例えば、次のような言葉です。
| 数字 | 昔の日本語 |
|---|---|
| 10 | とを(とお) |
| 20 | はた |
| 30 | みそ |
| 40 | よそ |
実は、平安時代の文学作品『源氏物語』にも、こうした数え方が登場します。
「空蝉(うつせみ)」の巻には、指を折りながら「十(とを)、二十(はた)、三十(みそ)、四十(よそ)」と数える場面が描かれています。
つまり、「はた」は現代人が想像するような特殊な年齢の呼び方ではなく、数字の20を表す日本語だったのです。
そして、その名残が「はたち」という言葉に残っています。
ちなみに、「三十路(みそじ)」や「四十路(よそじ)」にも、昔の数え方の面影があります。
日本語の数字の歴史は、私たちが思っている以上に奥深いのですね。
「二十歳」と「二十」はなぜ同じ「はたち」?
ここで、もう一つ不思議なことがあります。
「はたち」は、「二十歳」だけでなく、「二十」と書くこともできるのです。
これは、もともと「はたち」が数の20を表す言葉だったためです。
現代では、年齢を表す場合に「二十歳」と書くことが多くなっています。
一方、「二十」と書いて「はたち」と読む表記も、国語辞典や常用漢字表の付表で認められています。
また、このように漢字一字ずつの読み方からは導けない、言葉全体に対応した特別な読み方を「熟字訓(じゅくじくん)」と呼びます。
「二十歳(はたち)」も、その代表的な例です。
「はたち」と「にじゅっさい」は何が違う?

「二十歳」は、「はたち」とも「にじゅっさい」とも読めます。
どちらも20歳という年齢を表しており、意味に大きな違いはありません。
ただし、使われる場面には傾向があります。
| 読み方 | 特徴 | 使用例 |
|---|---|---|
| はたち | 日本語にもともとあった読み方 | はたちを迎える |
| にじゅっさい | 数字を音読みで表す読み方 | 年齢は20歳です |
「はたち」は、20歳という節目を意識させる言い方として、日常会話やお祝いの場面などでよく使われます。
一方、「にじゅっさい」は、「18歳」「19歳」「21歳」と同じように、数字として年齢を述べるときに使いやすい読み方です。
どちらかが正しく、もう一方が間違いというわけではありません。
同じ年齢でも、日本語には複数の表し方があるということなのです。
📚 日本語の数え方をもっと知る|『数え方の辞典』
「はたち」のような言葉を知ると、日本語の数え方そのものが気になってきませんか?
この辞典は、日本語のさまざまな数え方を、ものの名前や助数詞から調べられる一冊です。
そこでおすすめしたいのが、飯田朝子著・町田健監修の『数え方の辞典』(小学館)です。
例えば、箸は「1膳」、箪笥は「1棹」。
普段何気なく使っている数え方にも、それぞれ特徴があります。
さらに、「回」と「度」の違いなど、数え方の使い分けも詳しく解説されています。
今回の「はたち」のように、日本語の数え方には長い歴史や独自の文化が隠されています。
日本語の数え方の豊かさを、もっと体系的に知りたい方におすすめです。
関連記事|「一日」も漢字どおりに読まない!?
日本語には、「二十歳」のほかにも、漢字を見ただけでは読み方が分からない言葉があります。
例えば、「一日」。
「いちにち」とも読みますが、日付を表すときには「ついたち」と読みますよね。
実は、その語源には昔の暦と月の満ち欠けが関係しています。

「はたち」と「ついたち」を比べると、漢字の読み方の裏側に、日本語の歴史が見えてきます。
まとめ|「はたち」は昔の日本語で「20」だった!
「二十歳」を「はたち」と読むのは、昔の日本語に「20」を意味する「はた」という言葉があったからです。
「はたち」は、もともと年齢だけでなく、数の20も表していました。
そして、古い日本語の数え方は、『源氏物語』などの文学作品にも残っています。
「二十歳」という身近な言葉には、漢字一文字ずつの読み方だけでは分からない、日本語の歴史が隠されていたのですね。
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