2つの台風が近づくと、突然進路が曲がったり、互いの周りを回るように動いたりすることがあります。
これは、台風同士が風の流れを通じて影響し合うためです。
この現象は一般に「藤原の効果(ふじわらのこうか)」と呼ばれています。
ただし、台風が2つ並んだからといって、必ず進路が変わるわけではありません。
「藤原の効果」とは?|台風同士が進路に影響する現象

藤原の効果とは、2つ以上の台風が接近し、互いの進路に影響を及ぼす現象です。
台風は、それぞれが巨大な渦をつくっています。
北半球では台風の風が中心の周りを反時計回りに吹いているため、2つの台風が近づくと、片方の渦がつくる風が、もう片方の台風を動かすことがあります。
その結果、2つの台風が中間のある点の周りを、相対的に反時計回りに回るような動きを示す場合があります。
つまり、台風は周囲の風に流されるだけでなく、別の台風がつくる風にも影響されるのです。
この現象の名前は、日本の気象学者・藤原咲平(ふじわら さくへい)に由来します。
台風が約1000km以内に近づくと起こる?

藤原の効果は、2つの台風の中心間距離がおおむね1000km以内になると現れることがあるとされています。
ただし、1000kmは厳密な境界線ではありません。
実際にどの程度影響し合うかは、台風の大きさや強さ、周囲の風の流れなどによって変わります。
特に、台風を運ぶ周囲の風が弱い場合には、台風同士の影響が目立ちやすくなります。
「1000km以内なら必ず藤原の効果が起きる」という意味ではないことが重要です。
藤原の効果で台風はどう動く?|代表的な3パターン

2つの台風が影響し合った場合、必ず同じ動きをするわけではありません。
代表的な動き方を3つ紹介します。
① 回り込む
一方の台風が、もう一方の台風の周囲を回るように移動することがあります。
2つの台風の強さや大きさが近ければ、互いに中間の点の周りを回るような動きが現れる場合もあります。
② 近づく
片方の台風がもう一方へ近づき、渦同士の距離が縮まる場合があります。
条件によっては、弱い方の台風が強い方に取り込まれるような変化が起こることもあります。
③ 追いかける・離れる
一方の台風が先に進み、もう一方がその後を追うように動くことがあります。
反対に、2つの台風が次第に離れていく場合もあります。
このように、藤原の効果に関連する動きは一つではありません。
「2つの台風が必ずぐるぐる回る」と考えるのは正確ではないのです。
2つの台風があれば、必ず進路が変わる?
いいえ。台風が複数存在しても、藤原の効果が明確に現れるとは限りません。
台風の進路には、ほかにも次のような要因が関係します。
- 太平洋高気圧の位置や勢力
- 偏西風など、上空の大きな風の流れ
- 周囲にある低気圧や寒冷渦
- 台風自身の大きさや強さ
例えば、強い風が2つの台風を同じ方向へ運んでいれば、台風同士の相互作用は進路上で目立たないことがあります。
また、進路が急に変わったとしても、その原因が藤原の効果だけとは限りません。
実際、気象庁は「藤原の効果」という用語について、個々の事例で相互作用の程度を明確に示しにくいことなどから、公式の気象解説では使用を控える扱いにしています。
藤原の効果は実際に研究されている現象ですが、あらゆる複雑な進路を説明できる万能な法則ではありません。
実際の台風でも起きている?
台風同士の相互作用は、実際の気象観測や研究でも扱われています。
例えば2026年10月には、台風28号(ノロ)と台風29号(コグマ)が近い海域に存在し、互いの進路に影響する可能性が報じられました。
ただし、「藤原の効果が起きる可能性がある」という予測と、「実際にその効果が進路変化の主な原因だった」という判断は別です。
台風の進路を考える際は、台風同士の距離だけでなく、高気圧や上空の風なども合わせて見る必要があります。
なお、台風28号(ノロ)は、もともとハリケーンとして扱われていた熱帯低気圧です。

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台風同士が影響し合う仕組みを理解するには、そもそも台風がなぜ渦を巻き、どのように移動するのかを知ることが役立ちます。
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本書では、台風の構造や発生・発達の仕組みから、進路を決める要因、観測や予報の方法まで、図解を交えて解説しています。
特に「台風はなぜ渦を巻くのか」「台風はなぜ移動するのか」というテーマは、藤原の効果を理解するうえでも関連が深い内容です。
- 書名: 『図解・台風の科学』
- 著者: 上野充・山口宗彦
- 出版社: 講談社(ブルーバックス)
- 紙版発売日: 2012年7月20日
- ISBN: 9784062577786
まとめ|藤原の効果は「2つの巨大な渦の相互作用」
藤原の効果とは、2つ以上の台風が近づき、互いの風の流れによって進路に影響を及ぼす現象です。
覚えておきたいポイントは3つです。
- 2つの台風が互いの進路に影響することがある
- 中心間距離がおおむね1000km以内になると影響が現れる場合がある
- 必ず回転するわけではなく、周囲の風によって動き方が変わる
台風の進路は、1つの原因だけで決まるわけではありません。
複数の台風があるときも、気象庁の最新の進路予報を確認することが大切です。
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