縄文土偶にはなぜ穴がある?国宝『仮面の女神』から分かる焼き物の科学

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縄文時代の土偶には、体に小さな穴が開いているものがあります。

穴がある大きな理由の一つは、焼くときに内部の空気を逃がし、土偶が壊れるのを防ぐためです。

ただし、すべての穴が空気抜きとは限りません。装飾や儀礼に関係した可能性のある穴もあります。

今回は、長野県茅野市で発見された国宝「仮面の女神」を例に、土偶の穴と焼き物の科学を解説します。

目次

国宝「仮面の女神」とは?約4000年前の縄文土偶


「仮面の女神」は、長野県茅野市の中ッ原遺跡から2000年に出土した縄文時代後期の土偶です。

約4000年前に作られたもので、2014年に国宝に指定されました。

高さは約34cm、重さは約2.7kg。顔に仮面をつけたような姿が特徴です。

この土偶は、粘土をひものように伸ばし、輪にして積み上げる方法で作られています。

そのため、体の内部が空洞になっています。

こうした土偶を「中空土偶(ちゅうくうどぐう)」と呼びます。

土偶にはなぜ穴がある?焼くときに壊れないため

※画像は理解を助けるためのイメージ図です。実際の土偶の形状や穴の位置を正確に再現したものではありません。

粘土で作った土偶は、乾燥させたあと、火で焼いて固めます。

しかし、内部に水分や空気が閉じ込められていると、加熱によって問題が起こることがあります。

特に重要なのが、次の2つです。

  • 水分の蒸発: 粘土に残った水分が水蒸気になり、内部の圧力が高まることがある。
  • 空気の膨張: 内部の空気が温められると膨張する。

内部の圧力が高くなると、土偶にひびが入ったり、破損したりするおそれがあります。

そこで、中が空洞になった土偶には、内部と外部をつなぐ穴が設けられたと考えられています。

穴は、焼くときに内部の空気などを外へ逃がす役割を果たします。

ただし、穴を開ければ必ず破損を防げるわけではありません。 粘土を十分に乾燥させ、急激に加熱しないことも重要です。

「仮面の女神」には7つの穴がある

※画像は理解を助けるためのイメージ図です。実際の土偶の形状や穴の位置を正確に再現したものではありません。

茅野市尖石縄文考古館の解説によると、「仮面の女神」には合計7つの穴があります。

足の裏や股間などにある穴は、焼くときの空気抜きとして作られたと考えられています。

一方、頭頂部や腹部にある細い穴は、文様の中心に位置しています。

考古館では、これらの穴には空気抜き以外の意味があった可能性も指摘しています。

つまり、「仮面の女神」の穴は、すべて同じ役割だったとは限らないのです。

縄文人がどのような意味を込めたのか、まだ分かっていない部分もあります。

土偶と埴輪は同じもの?共通する焼き物の技術

土偶と同じく、古代の日本で粘土を焼いて作られたものに「埴輪(はにわ)」があります。

ただし、作られた時代や用途は異なります。

比較土偶埴輪
主な時代縄文時代古墳時代
主な特徴人や動物などを表現円筒形や人物・動物などを表現
用途儀礼などとの関係が考えられるが、不明な点も多い主に古墳に並べられた
共通点粘土を成形して焼く粘土を成形して焼く

どちらも粘土を使った焼き物ですが、土偶と埴輪を同じ目的で作られたものと考えることはできません。

関連記事:埴輪についての記事

埴輪が作られた理由や特徴については、こちらの記事でも解説しています。

まとめ|土偶の穴には科学と謎がある

縄文土偶に穴がある理由の一つは、焼くときに内部の空気を逃がし、破損を防ぐためです。

国宝「仮面の女神」は内部が空洞になっており、7つの穴が開けられています。

その一部は空気抜きと考えられていますが、文様と関係する穴については、別の意味があった可能性もあります。

土偶の小さな穴からは、縄文人が持っていた焼き物の技術と、まだ解明されていない文化の両方が見えてくるのです。

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