「稲むらの火」は実話と違った!?|浜口梧陵が火をつけた本当の理由

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津波から村人を救うため、収穫した稲の束に火をつけた――。

有名な「稲むらの火」は、江戸時代に実際に起きた出来事をもとにした物語です。

しかし、浜口梧陵が火をつけた本当の理由は、物語とは違っていました。

物語では「津波の襲来を村人に知らせるため」ですが、史実では暗闇の中で逃げ遅れた人々に、安全な避難場所を知らせるためだったとされています。

いったい何が違うのでしょうか?

目次

「稲むらの火」の物語では、なぜ火をつけた?

「稲むら」とは、収穫後の稲わらを積み重ねたものです。

物語の主人公は、高台に住む庄屋の五兵衛。

地震の後、海の水が大きく引くのを見て、津波が来ると気づきます。

ところが、村人たちは危険を知らず、祭りの準備を続けていました。

そこで五兵衛は、自分の稲むらに火をつけます。

火事だと思った村人たちは、火を消そうと高台へ駆けつけました。

その直後、津波が村を襲います。

つまり物語では、村人を高台へ集めるために、わざと火事を起こしたのです。

史実では違った!浜口梧陵が火をつけた本当の理由

実際の出来事は、1854年12月24日(旧暦11月5日)の安政南海地震で起きました。

場所は、現在の和歌山県広川町にあたる広村です。

当時35歳だった浜口梧陵(当時の名は儀兵衛)は、津波に襲われた村で人々の救助にあたりました。

しかし、日が暮れると、逃げ遅れた人々は安全な場所がわかりにくくなります。

そこで浜口は稲むらに火をつけ、避難する人々が目指すための明かりにしたと伝えられています。

物語と史実の違いを比べてみましょう。

比較物語「稲むらの火」実際の出来事
主人公五兵衛という老人浜口梧陵・35歳
住んでいた場所高台低地の集落
火をつけた目的津波を知らせ、村人を集める逃げ遅れた人に避難場所を知らせる
火の役割人を呼び寄せる合図暗闇の中の目印

火を使って人々の命を救ったことは共通していますが、火をつけた目的が違うのです。

なぜ実話と違う物語になった?

その理由には、作家・小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)が関係しています。

1896年、八雲は浜口梧陵の逸話をもとに、英語の短編小説『A Living God(生き神様)』を発表しました。

この作品では、主人公の年齢や住まい、村人を救う方法などが、実際の出来事から変更されています。

その後、小学校教員の中井常蔵が八雲の作品をもとに「稲むらの火」を執筆。

1937年から1947年まで、小学校の国語教科書に掲載されました。

つまり、「稲むらの火」は歴史の記録をそのまま文章にしたものではなく、実話をもとに防災の教訓を伝える物語として作られたのです。

浜口梧陵の功績は、津波の後にも続いていた!

浜口梧陵の活躍は、稲むらに火をつけたことだけではありません。

津波で大きな被害を受けた広村の復興にも力を尽くしました。

特に重要なのが、私財を投じて進めた堤防の建設です。

将来の津波から村を守るため、住民とともに堤防を築きました。

この堤防は現在も「広村堤防」として知られています。

目の前の命を救うだけでなく、次の災害に備えたことも浜口梧陵の大きな功績なのです。

なお、安政南海地震が起きた旧暦11月5日にちなみ、現在の11月5日は「津波防災の日」と定められています。

絵本『津波からみんなをすくえ!』で本当の浜口梧陵を知ろう!

今回のテーマをさらに深く知りたい人におすすめなのが、絵本『津波からみんなをすくえ! ほんとうにあった「稲むらの火」』です。

この絵本では、浜口梧陵が津波から人々を救った出来事だけでなく、その後に私財を投じて堤防を築いた活動まで描かれています。

昔の国語教材「稲むらの火」と読み比べると、物語と史実の違いがよりわかりやすくなります。

津波からみんなをすくえ! ほんとうにあった「稲むらの火」 [ 和歌山県教育委員会 ]
項目内容
書名津波からみんなをすくえ! ほんとうにあった「稲むらの火」浜口梧陵さんのお話
作クニ・トシロウ
絵ケイ・タロー
企画・制作和歌山県教育委員会
出版社文溪堂
発行2006年
ISBN9784894235144

まとめ|「稲むらの火」は実話をもとにした物語だった

今回のポイントは3つです。

  • 物語: 津波を知らせるために稲むらを燃やした
  • 史実: 暗闇で逃げ遅れた人々に避難場所を知らせるために火をつけた
  • その後: 浜口梧陵は堤防建設にも取り組んだ

「稲むらの火」は、史実とまったく同じ話ではありません。

しかし、人々の命を守るために行動した浜口梧陵の功績は、物語の中でも受け継がれています。

そして現代の私たちにも、地震の後は津波を警戒し、速やかに安全な高台などへ避難することの大切さを伝えているのです。

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参考・出典

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