「マイナスとマイナスをかけると、プラスになる」
学校で習ったこのルールを、不思議に思ったことはありませんか?
例えば、
(−3)×(−2)=+6
マイナスの数が2つもあるのに、答えはプラスです。
「マイナスが2つで打ち消し合う」と覚えた人もいるかもしれません。
でも、なぜ打ち消し合うのでしょうか?
実は、マイナス×マイナスがプラスになるのは、数学の計算ルールを矛盾なく成り立たせるためです。
今回は、数の並びと分配法則を使って、その理由を解き明かします。
マイナス×マイナスがプラスになるのはなぜ?

まずは、簡単な掛け算を並べてみましょう。
| 計算 | 答え |
|---|---|
| (−3)×3 | −9 |
| (−3)×2 | −6 |
| (−3)×1 | −3 |
| (−3)×0 | 0 |
| (−3)×(−1) | +3 |
| (−3)×(−2) | +6 |
この表には、ある規則があります。
右側の数を3、2、1、0と1ずつ減らすと、答えは−9、−6、−3、0と、3ずつ増えているのです。
では、0の次に−1、−2を掛けるとどうなるでしょうか?
同じ規則を続ければ、
(−3)×(−1)=+3
(−3)×(−2)=+6
となります。
つまり、マイナス×マイナスをプラスにすると、それまでの掛け算の規則がそのまま続くのです。
ただし、これは規則を見つけるための説明です。
「なぜその規則を守らなければいけないのか?」という疑問は、まだ残っています。
そこで登場するのが、数学の重要なルール「分配法則」です。
分配法則で証明!マイナス×マイナスはプラスになるしかない
×(−2)=+6-1024x577.png)
分配法則とは、次のような計算のルールです。
a×(b+c)=a×b+a×c
例えば、
3×(2+4)=3×2+3×4
左側も右側も18になります。
この法則を、マイナスの掛け算にも使ってみましょう。
まず、
(−2)+2=0
ですよね。
この両辺に−3を掛けると、
(−3)×{(−2)+2}=(−3)×0=0
となります。
ここで分配法則を使います。
(−3)×(−2)+(−3)×2=0
(−3)×2=−6なので、
(−3)×(−2)−6=0
となります。
では、−6と足して0になる数はいくつでしょうか?
答えは+6です。
したがって、
(−3)×(−2)=+6
と分かります。
つまり、分配法則を守るなら、マイナス×マイナスの答えはプラスにならなければいけないのです。
もしマイナス×マイナスがマイナスだったら?

ここで、少し意地悪なことを考えてみましょう。
もし、
(−3)×(−2)=−6
だったら、どうなるでしょうか?
先ほどの分配法則に当てはめると、
(−3)×{(−2)+2}
=(−3)×(−2)+(−3)×2
となります。
左側は、
(−3)×0=0
です。
ところが、マイナス×マイナスをマイナスにすると、右側は、
−6+(−6)=−12
になってしまいます。
すると、
0=−12
という矛盾が生まれます。
これは明らかにおかしいですよね。
マイナス×マイナスをプラスにするのは、単なる語呂合わせではありません。
それまでの計算の法則を、負の数でも矛盾なく使えるようにするためのルールなのです。
「マイナスが2つでプラス」はいつでも正しい?
ここで注意したいことがあります。
「マイナスが2つあるからプラス」とだけ覚えていると、計算を間違える場合があります。
例えば、
(−3)+(−2)=−5
です。
マイナスが2つあっても、足し算ではプラスになりません。
一方、
(−3)×(−2)=+6
となります。
つまり、大切なのはマイナスの個数だけでなく、どんな計算をしているかです。
掛け算の場合は、次のように整理できます。
| 掛け算の符号 | 答えの符号 |
|---|---|
| プラス×プラス | プラス |
| プラス×マイナス | マイナス |
| マイナス×プラス | マイナス |
| マイナス×マイナス | プラス |
符号のルールを覚えることも大切ですが、理由まで理解すれば、単なる暗記ではなくなります。
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- 分数の割り算は、なぜひっくり返して掛けるのか?
- 0乗や0!は、なぜ特別な値になるのか?
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関連記事|数学の「当たり前」には理由がある!
数学には、今回のように「そういうルールだから」と覚えていた計算が、ほかにもあります。
例えば、下記の記事では、なぜ0で割ってはいけないのかを、掛け算との関係から解説しています。

また、下記の記事では、直感では納得しにくい無限小数の不思議を紹介しています。

どちらも、数学のルールを「なぜ?」から考えられる記事です。
まとめ|マイナス×マイナスがプラスになる本当の理由
今回のポイントを振り返りましょう。
- マイナス×マイナスの答えはプラスになる。
- 掛け算の数の並びを見ると、その規則を直感的に理解できる。
- 分配法則を使えば、プラスになる理由を確かめられる。
- もしマイナス×マイナスをマイナスにすると、計算の法則に矛盾が生じる。
- 足し算と掛け算では、マイナスの扱いが違う。
「マイナスが2つあるとプラスになる」
この言葉だけでは、理由までは分かりません。
でも、分配法則を使えば、マイナス×マイナスはプラスになるしかないことが見えてきます。
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