同じ食べ物でも、食べる順番によって食後の血糖値の上がり方が変わることがあります。
その理由の一つが、胃から腸へ食べ物が送られる速さです。
2026年10月、京都大学などの研究グループは、脂質を糖質より先に与えると、マウスでは胃の内容物が腸へ移動する速度が遅くなり、食後の血糖上昇が緩やかになることを報告しました。
なぜ食べる順番が血糖値に関係するのでしょうか。胃と腸の働きから見ていきましょう。
血糖値はなぜ食後に上がるの?

血糖値とは、血液中のブドウ糖の濃度のことです。
ご飯やパンなどに含まれる糖質は、消化によってブドウ糖などに分解され、小腸から吸収されます。
吸収されたブドウ糖が血液に入ると、血糖値が上がります。
ここで重要なのは、食べ物が胃に入ってすぐに、すべての糖が吸収されるわけではないということです。
食べ物は胃から少しずつ小腸へ送られ、そこで消化・吸収が進みます。
食べる順番で何が変わる?鍵は「胃排出」

胃の内容物が小腸へ送り出されることを、胃排出(いはいしゅつ)といいます。
胃排出が速ければ、糖が小腸へ届くペースも速くなり、血糖値が比較的急に上昇する場合があります。
反対に、胃排出が遅くなると、糖が小腸へ届くペースが緩やかになり、食後早い時間帯の血糖上昇が抑えられることがあります。
つまり、食べる順番による血糖値の違いには、糖を吸収する小腸だけでなく、その手前にある胃の働きも関係しているのです。
京都大学の研究で何が分かった?

2026年10月9日に発表された京都大学などの共同研究では、マウスにオリーブ油などの脂質をブドウ糖より先に与え、その後の胃排出と血糖値を調べました。
その結果、脂質を先に与えたマウスでは、次の変化が確認されました。
- 胃から小腸への内容物の移動が遅くなった
- 糖を与えた後の早い時間帯で、血糖値の上昇が抑えられた
さらに、この仕組みには、GLP-1とグルカゴンというホルモンの働きや、迷走神経が関わっていることも示されました。
GLP-1は、胃の内容物が腸へ移動する速さの調節などに関わるホルモンです。
グルカゴンは一般に血糖値を上げる働きで知られていますが、今回の研究では、GLP-1とともに胃排出の調節に関わることが示されました。
また、迷走神経は、脳と胃腸などの内臓をつなぎ、消化管の働きを調節する神経です。

今回の研究は、食べる順番による血糖値の変化に、ホルモンと神経が協力する仕組みが関わっていることを明らかにしました。
ただし、今回の実験はマウスを対象としたものです。
人間でも同じ条件で同じ効果が得られると証明されたわけではなく、「オリーブ油を先に飲めば血糖値が下がる」といった食事法を推奨する研究ではありません。
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まとめ|食べる順番が血糖値に関係する理由

食べる順番によって血糖値の上がり方が変わる理由の一つは、胃から小腸へ糖が送られる速さが変わるためです。
今回の研究では、脂質を先に与えると、ホルモンや迷走神経の働きを通じて胃排出が遅くなり、マウスの食後血糖上昇が抑えられることが示されました。
私たちの体では、胃・腸・ホルモン・神経が連携して、食後の血糖値を調節しているのです。
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