桜の木を枯らす外来昆虫として、クビアカツヤカミキリが問題になっています。
しかし、なぜ小さな昆虫の幼虫が、あれほど大きな桜の木を枯らしてしまうのでしょうか?
その理由は、幼虫が木の内部に入り込み、養分を運ぶ組織などを食べてしまうためです。
木は、根から吸収した水分や葉でつくった養分を、体の各部分へ運びながら生きています。
クビアカツヤカミキリの幼虫がその通り道を傷つけると、木は次第に弱り、被害が大きくなると枯れてしまうことがあります。
クビアカツヤカミキリとは?桜を枯らす外来昆虫

クビアカツヤカミキリは、東アジア原産の外来昆虫です。
成虫は黒く光沢のある体と、赤い胸部が特徴で、体長はおよそ2.5〜4cmです。
日本では2012年に愛知県の桜で被害が確認され、その後、各地に分布を広げています。
主に被害を受けるのは、次のような樹木です。
- サクラ
- ウメ
- モモ
- スモモ
いずれもバラ科の樹木です。
2026年8月時点で、国内22都府県で発生が確認されています。
2018年には、外来生物法に基づく「特定外来生物」に指定されました。
なぜ幼虫が木の内部を食べると桜が枯れるの?

桜が枯れる仕組みを理解するには、木の内部構造を知ることが大切です。
木の幹には、水分や養分を運ぶ組織があります。
| 組織 | 主な役割 |
|---|---|
| 道管 | 根から吸収した水分などを運ぶ |
| 師管 | 葉でつくられた糖などの養分を運ぶ |
| 形成層 | 新しい木部や師部をつくり、幹を太くする |
クビアカツヤカミキリの幼虫は、樹皮の内側に入り込み、主に内樹皮などを食べて成長します。
この部分には、養分を運ぶ師管などの重要な組織があります。
幼虫が食べ進むことで、木の内部にある養分の通り道が傷ついてしまうのです。
すると、被害を受けた部分より先の枝が弱ったり、枯れたりすることがあります。
さらに、多くの幼虫が幹の周囲を広く食害すると、木全体が衰弱し、枯死する場合があります。
つまり、クビアカツヤカミキリが桜を枯らすのは、単に木に穴を開けるからではありません。
木が生きるために必要な組織を、内部から壊してしまうことが大きな原因なのです。
幼虫はどうやって桜の木に入り込む?

クビアカツヤカミキリの成虫は、主に初夏から夏にかけて現れます。
メスは桜などの樹皮の割れ目に卵を産みつけます。
卵からかえった幼虫は、樹皮に穴を開けて木の内部へ侵入します。
その後、幼虫は木の内部を食べながら成長し、一般に2〜3年ほどかけて成虫になります。
その間、外からは見えにくい場所で食害が進むため、気づいたときには被害が広がっていることもあります。
桜の木から出る「フラス」とは?被害を見分ける目印

クビアカツヤカミキリの被害を見つける重要な手がかりが、「フラス」です。
フラスとは、幼虫が木を食べたときに出る木くずと、幼虫のフンが混ざったものです。
幼虫は、幹や枝に開けた穴からフラスを外へ押し出します。
クビアカツヤカミキリのフラスは、棒状やかりんとう状につながって見えることがあります。
桜の幹の根元などに、こうした木くずのようなものが大量にたまっていたら、注意が必要です。
ただし、フラスがあるだけでクビアカツヤカミキリと断定できるわけではありません。
似た痕跡を残す昆虫もいるため、発見した場合は写真を撮影し、自治体や土地・施設の管理者に相談しましょう。
クビアカツヤカミキリを見つけたらどうする?
クビアカツヤカミキリは、特定外来生物に指定されています。
そのため、原則として生きたまま持ち運んだり、飼育したり、別の場所へ放したりすることは禁止されています。
成虫や被害が疑われる木を見つけた場合は、次の点を意識しましょう。
- 発見場所と日時を記録する
- 可能であれば写真を撮影する
- 自治体や土地・施設の管理者へ連絡する
- 生きた個体を別の場所へ持ち運ばない
被害が進んだ木では、枝が落ちたり、倒木につながったりする危険もあります。
被害が疑われる木を自分で切ったり、薬剤を使ったりするのではなく、管理者や専門機関の指示に従うことが大切です。
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まとめ|クビアカツヤカミキリが桜を枯らす理由

クビアカツヤカミキリが桜を枯らすのは、幼虫が木の内部に入り込み、養分を運ぶ組織などを食べてしまうためです。
被害が進むと枝が枯れ、多数の幼虫に食害された木は、全体が枯死することもあります。
桜の幹から出る「フラス」は、被害を見つける重要な手がかりです。
桜を守るためには、木の内部で進む被害を早期に発見し、適切な対策につなげることが大切です。
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