2026年10月、世界の時間の決め方に大きな変更が決まりました。
それが、「うるう秒」の廃止です。
うるう秒とは、地球の自転を基準とする時刻と、原子時計を基準とする時刻のずれを調整する仕組みです。
しかし、なぜ必要だった1秒の調整をやめるのでしょうか?
結論は、地球の自転が一定ではないことに加え、うるう秒の調整が現代のコンピューターシステムに障害を起こすリスクがあるためです。
2027年5月20日からは、うるう秒を使わずに時刻を連続して進める新しい方式へ移行します。
地球の自転と時間の関係から、その理由を見ていきましょう。
うるう秒とは?なぜ1秒を追加していた?

うるう秒とは、地球の自転に基づく時刻と、原子時計に基づく時刻のずれを小さくするための調整です。
昔は、地球が1回転する時間をもとに、1日の長さを決めていました。
しかし、地球の自転速度は完全に一定ではありません。
一方、現在の「1秒」は、セシウム133という原子の性質を利用して、非常に正確に定義されています。
この2つの時間の進み方には、少しずつ違いが生まれます。
そこで1972年から、必要に応じて1秒を加える「うるう秒」が使われるようになりました。
例えば、うるう秒を追加する場合、時刻は次のように進みます。
23時59分59秒 → 23時59分60秒 → 0時00分00秒
普段は存在しない「60秒」が現れるのです。
この調整によって、地球の自転に基づく時刻と協定世界時(UTC)の差を、0.9秒以内に保ってきました。
地球の自転はなぜ一定ではない?「1秒のズレ」が生まれる理由

地球は24時間で正確に1回転していると思われがちですが、実際には自転速度がわずかに変化しています。
その原因には、月の引力による潮汐作用や、地球内部の動き、大気や海洋の変化などがあります。
長い期間で見ると、月の潮汐作用によって地球の自転には遅くなる傾向があります。
しかし、短い期間では自転が速くなることもあります。
つまり、地球は時間を測る基準としては、完全に一定の速さで回る時計ではないのです。
| 時間の基準 | 特徴 |
|---|---|
| 地球の自転に基づく時刻(UT1) | 地球の回転速度の変化に影響される |
| 原子時計に基づく時間 | 原子の性質を利用して安定した1秒を測る |
| 協定世界時(UTC) | 原子時計を基礎に、従来はうるう秒で地球の自転とのずれを調整 |
この違いが、うるう秒を必要としていた理由です。
うるう秒はなぜ廃止?コンピューターにとって危険な1秒

うるう秒が廃止される最大の理由は、現代社会のシステムが、途切れず正確に進む時間を必要としているからです。
インターネット、通信、金融取引、人工衛星、電力網などでは、多数のコンピューターが正確な時刻を共有しています。
ところが、うるう秒を追加すると、通常とは異なる時刻の進み方が発生します。
システムによって調整方法が違うと、時刻の食い違いや処理の不具合につながるおそれがあります。
さらに近年は、地球の自転が一時的に速くなった影響で、従来の「1秒を追加する」方式とは逆の、1秒を削除する「負のうるう秒」が必要になる可能性も指摘されていました。
負のうるう秒は、これまで一度も実施されていません。
そのため、十分に対応できていないシステムへの影響が懸念されていたのです。
世界共通の時刻を安全に使い続けるため、うるう秒による調整をやめる方針が決まりました。
2027年から時間はどう変わる?「うるう時」とは?

2026年10月の国際度量衡総会では、2027年5月20日から、うるう秒を使わない連続的なUTCへ移行することが決まりました。
これまで、地球の自転に基づく時刻とUTCの差は、0.9秒以内に収まるよう調整されていました。
新しい方式では、その差を最大3,600秒、つまり1時間まで許容します。
| 項目 | 従来 | 2027年5月20日から |
|---|---|---|
| 時刻の調整 | 必要に応じてうるう秒を挿入 | うるう秒を使わない |
| 地球の自転との許容差 | 約0.9秒以内 | 最大3,600秒(1時間) |
| 時刻の進み方 | 調整時に例外的な秒が発生 | 連続して進む |
ここで重要なのは、2027年に突然1時間を追加するわけではないという点です。
新しい制度は、地球の自転と時計のずれが今後ゆっくり広がることを認める仕組みです。
「うるう時(leap hour)」という言葉で紹介されることもありますが、1時間を実際に追加する日が決まったわけではありません。
また、今回の決定によって1秒の長さそのものが変わるわけでもありません。
うるう秒がなくなると、私たちの生活は変わる?
うるう秒がなくなっても、日常生活ですぐに大きな変化を感じることはありません。
スマートフォンや時計の1秒が長くなったり、1日の長さが突然変わったりするわけではないからです。
地球の自転に基づく時刻とUTCには、今後少しずつ差が生じる可能性があります。
しかし、その差が日常生活に大きな影響を与えるまでには、非常に長い時間がかかると考えられています。
一方、天体観測や人工衛星の運用など、地球の正確な向きが重要になる分野では、自転に基づく時刻とUTCの差を引き続き把握する必要があります。
うるう秒の廃止は、地球の自転を無視するということではなく、時計の進み方と地球の回転を別々に管理するという変化なのです。
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まとめ|うるう秒の廃止は「地球の時間」から「連続する時間」への転換

うるう秒は、地球の自転に基づく時刻と、原子時計に基づく時刻のずれを調整するための仕組みでした。
しかし、地球の自転は一定ではなく、うるう秒による不規則な調整は現代のコンピューターシステムにとってリスクになります。
そのため、2027年5月20日からは、うるう秒を使わない連続的なUTCへ移行します。
うるう秒の廃止は、1秒が不要になるという話ではありません。人類が「時間をどう測り、どう共有するか」を見直した、大きな転換なのです。
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