紅茶にレモンを入れた瞬間、濃い赤褐色だった紅茶が、明るい色に変わったことはありませんか?
「レモンを少し入れただけなのに、どうして色が薄くなるの?」
実は、レモンに含まれるクエン酸によって紅茶の酸性が強まり、紅茶の色素の状態が変化するからです。
紅茶が単純に水で薄まったわけではありません。
その秘密は、高校化学でも学ぶ「酸性・アルカリ性」と、紅茶に含まれる色素の性質にあります。
紅茶にレモンを入れると色が薄くなるのはなぜ?
紅茶の色は、茶葉から溶け出したさまざまな成分によって生まれています。
その中でも重要なのが、次の2つです。
- テアフラビン:紅茶の明るい橙赤色に関わる成分
- テアルビジン:紅茶の赤褐色に関わる成分
どちらも紅茶に含まれるポリフェノールの仲間です。
このうち、テアフラビンは酸性の条件になると、色が弱くなる性質を持っています。
そこに、クエン酸を含むレモンを加えるとどうなるでしょうか?
紅茶の酸性が強まり、テアフラビンの色の状態が変わります。
その結果、紅茶全体の色が薄く、明るく見えるようになるのです。
つまり、レモンは紅茶を単純に薄めているのではなく、色素の性質を変えているということです。
レモンのクエン酸が鍵!|pHが下がると色が変わる

ここで登場するのが「pH(ピーエイチ)」です。
pHとは、水溶液がどのくらい酸性・アルカリ性なのかを表す指標です。
基本的には、次のように考えます。
| pH | 水溶液の性質 |
|---|---|
| 7より小さい | 酸性 |
| 7 | 中性 |
| 7より大きい | アルカリ性 |
※25℃付近の水溶液を基準とした説明です。
レモンには、酸味のもととなるクエン酸が含まれています。
そのため、紅茶にレモンを入れると、紅茶のpHが下がります。
この変化によって、紅茶の色素が光を吸収する性質も変わり、私たちの目には色が薄くなったように見えるのです。
「pHが変わると、物質の色も変わることがある」
これが今回の化学のポイントです。
色素が消えたわけではない!?|紅茶の色の秘密

「色が薄くなったということは、色素がなくなったの?」
そう考えるかもしれません。
しかし、レモンを入れたからといって、紅茶の色素がすべて消えてしまうわけではありません。
紅茶には、テアフラビン以外にも複数の色に関わる成分があります。
レモンによってテアフラビンの色が弱くなっても、テアルビジンなどの成分は残っています。
そのため、紅茶は透明になるのではなく、明るい赤色や橙色に近い色合いになることがあります。
また、実際の色の変化は、茶葉の種類や濃さ、使用する水、レモンの量などによって異なります。
大切なのは、色が薄く見えることと、色素そのものがなくなることは同じではないという点です。
家でも確かめられる!|レモンティーの色変化実験

この現象は、家庭でも簡単に観察できます。
用意するもの
- 紅茶
- 透明な耐熱カップ2個
- レモン果汁
- スプーン
実験の手順
- 同じ濃さの紅茶を2つのカップに同量ずつ入れる。
- 片方のカップだけにレモン果汁を少量加える。
- 軽く混ぜ、2つのカップの色を比べる。
レモンを加えた紅茶のほうが、色が明るく見えることがあります。
実験するときは、同じ紅茶を2つに分けて比較することが重要です。
茶葉の種類や抽出時間が違うと、もともとの色も違ってしまうからです。
白い紙をカップの後ろに置くと、色の違いを観察しやすくなります。
※熱い紅茶によるやけどに注意し、十分に冷ましてから観察してください。
この実験で確かめられるのは、レモンによって紅茶の色が変わるという現象です。色素の分子構造の変化そのものを、目で直接見ているわけではありません。
色だけでなく味も変わる?|酸味と香りの関係
レモンを入れると、紅茶は見た目だけでなく、味や香りも変わります。
クエン酸による酸味が加わり、レモン特有の香りも感じられるようになるからです。
ただし、紅茶の色が薄くなる仕組みと、酸っぱく感じる仕組みは別です。
色の変化には色素とpHの関係が、酸味には舌の味覚が関わっています。
さらに、レモンの香りには鼻の嗅覚も関係しています。
食べ物や飲み物の風味に嗅覚がどう関わるのかは、下記の関連記事でも詳しく解説しています。

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この本では、「紅茶にレモンを入れると色が変わる理由」が実際に取り上げられています。
そのほかにも、普段の生活で出会うさまざまな現象を、化学の視点から解説しています。
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書籍情報
- 書名:『面白くて眠れなくなる化学』
- 著者:左巻健男
- 出版社:PHP研究所
- 発売日:2012年3月16日(単行本)
- ISBN:9784569803982
まとめ|レモンで紅茶の色が変わるのは化学の力!
紅茶にレモンを入れると色が薄くなるのは、レモンのクエン酸によってpHが下がり、紅茶の色素の状態が変化するからです。
今回のポイントを振り返りましょう。
- 紅茶の色には、テアフラビンやテアルビジンが関わっている
- レモンに含まれるクエン酸によって紅茶のpHが下がる
- テアフラビンは酸性になると色が弱くなる
- 色素がすべて消えたわけではない
- 同じ紅茶を2つに分ければ、色の変化を比較できる
普段何気なく飲んでいるレモンティーにも、目に見える化学の変化が隠されています。
次に紅茶へレモンを入れるときは、ぜひその色の変化にも注目してみてください。
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